いつだったか、テレビを見ていたら、インドの工科大学を卒業して日本に来ている技術者が、
「日本の企業ではITが必要以上に軽視されている」というようなことを言っていた。
私は、この発言が出る背景をある程度理解している。
しかし、インドの技術者は、逆に、日本の経営者がITに消極的な理由を理解できないのではないだろうか。
大企業において、ITは広く利用されている。
しかし、活用はされていない。
ITは、必要な期間のうちに財務諸表をつくりだしてくれる道具であり、
ITがなければ手作業では実現できない。
だから、仕方なくITを導入している。
こういう経営者が多いのではないだろうか。
これには、日本の経営が保守的で、一番乗りを嫌う傾向を顕著に反映している。
また、終身雇用が原則の日本において、ITはコストになりこそなれ、
コストカットの材料にはならないという傾向も反映していると思われる。
その上に日本のIT技術は提供されているため、ここ10年、日本のIT技術者は明確に進歩していない。
上記の理由により、進歩を要求されてこなかったことが要因にあることは間違いない。
しかし、ITは活用されることで、価値を生む。
ITは進歩の余地が多分にある。
後進国であるインドの技術者がこのようにいうのはまったくもって正論で、
結果として、ITに関しては、インドの一部の技術力は、日本のはるか先に行ってしまっている。
日本の大企業は負の企業連鎖を断ち切れないでいるのだ。
それでは、中小企業はどうか。
この状況はさらに悪い。
中小企業の多くは、バブル期に大手電機メーカーや大手商社に搾取されまくった経験を持っている。
これは、2つの側面がある。
中小企業は、ITリテラシが不足していたために要求があいまいで、
あいまいであるにもかかわらず、馬鹿にされないようにと背伸びをしてしまった。
大手電機メーカや商社は、あいまいな要求にそのまま答え、あるいは要求を水増しして
高価な買い物をさせてしまった。
このことは、バブル崩壊で多くの悲劇を生んだ。
そして、現時点において、ITに頼らない中小企業の体質を生み、
ITリテラシの欠如を加速した。
しかも、個人レベルでは、パソコンはホビーの道具として浸透したため、
中途半端な知識が更なる悲劇を生んでいる。
たとえば、従業員10人程度の中小企業でファイルサーバがほしいと言われた場合、
常識的に考えて、高信頼部品で組み上げられた数十万円もするようなサーバは不要だ。
なぜなら、そこまでの負荷がかかることは決してないからだ。
ほとんどの場合、パソコンに毛の生えた程度のものか、そこらで手に入る2~3万円のNASに
バックアップ用のハードディスクをつければ要は足りてしまう。
しかし、リテラシが低いために、(騙されて)数十万のサーバを導入してしまうのだ。
ITの専門家である売る側は、浮利を追わず、お客様の身の丈に合った提案をするべきだ。
客である中小企業の経営者は、もっとITを活用するためのリテラシを身に着けるべきだ。
売る側は、継続的な付き合いをもっと追究すべきだ。
買う側は、目的に合った出費を正確に計算すべきだ。
結局、売る側も高く売りたい、買う側も機能の価値を計らない、
しかも、双方ともに変化を嫌う。
こういったことが、IT軽視の根底にはあると思う。
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2010年7月10日19:21
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- 2010/07/09(金) 12:54:51|
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