RPGの風景を語る上で必要なのはどのゲームシステムを使ったかということかもしれない。
ここでは、ローズ トゥ ロード(Roads to Lord、以下 RtoL)をプレイした時の様子を描いてみたい。
昔はツクダオリジナルから箱で販売されていたが、現在はビヨンド ローズ トゥ ロードの要素を取り入れて本で出版されている。
まだ手に入るらしい。
さて、このシステムの良いところは簡単なところ。
そして、重要なのは、ゲームの作者が設定を使う必要ないと明言しているところ。
多くのRPGは、システムと世界がくっつきすぎて分離することができずに
個人の頭の中で暴走していく傾向があり、しばしば議論になる。
(ということを経験している。たとえばエルリックサーガとか、
ミドルアース(指輪物語)RPGとか、メガトラベラーとか・・・
個人の思い入れが大きい世界は大変。)
しかし、このシステムを使うからといってどの世界を使うという制約を受ける必要はない。
もちろん、このシステムで紹介されている『ユルセルーム世界』を使ってもかまわない。
私がゲームマスターをやる時は、独自の『ユルセルーム世界』を使いことが多い。
なぜかというと、すべての設定を使うことがそもそも無理なのと、使いやすい設定があるからだ。
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RPGは、まず、キャラクター作りから始まる。
最初に行うのはプレイヤーに「どんなキャラクターをやりたい?」と聞くところからだ。
そして、状況によってキャラクターの『特性』や『生い立ち』を付け加え、種族や能力値まで指定することがある。
実際、キャラクターの作成ではここに一番時間を要する。
「(指輪物語の)はせおさんがやりたい」とか言われると、RtoLではロストロイヤルという生まれになる。
しかし、世界の中でもかなり出現率の低い存在だ。
また、生い立ちの特性上、一つのパーティ(プレイヤーの集団)で複数人そういう人がいると兄弟とするしかない。
この条件を満足できるか、プレイの経験などから判断し可否を決めていく。
(多くのプレイヤーが重視することが多い)能力値は、通常、さいころを振って決めるわけだが、私は、回数を決めて振り直しを認めている。
つまり、『通常よりも強いということを認める』わけだ。
これには理由がある。
冒険に出たいと普段から思っていた(プレイヤーの)キャラクター(以下PC)は普段から自分を鍛えている。
必要な知識を貪欲に求めている。
それは当り前のことである。
しかし、ある程度持って生まれた性質には左右される。だから一応さいころは振ってもらう。
ということだ。
そして、出来上がったキャラクターの情報を紙に書いていく。
RtoLには、この用紙のサンプルがあるのでコピーして使うこともできる。
絵のうまい人が多いときには、キャラクターの顔などもこの紙に書いておく。
そうすると、話を進める上で役に立つ場合がある。
キャラクター作成の最後は、出会いである。
生まれの違うキャラクターたちが、なぜ一緒に旅をすることになったかを考えるわけだ。
RtoLに付属のシナリオでは、いきなり全員が魔法で呼び出されてしまうところから話が始まるが、これは極端なケースだ。
一般的なのはそれぞれ、別々な理由である町の酒場に集まり、偶然その場に居合わせるというシュチュエーションだろう。
そして話は突然始まる。
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PC1:「マスター酒をくれ」
PC2:「おい、こっちが先だぁ」
PC3:マスター、ウエイトレスはかわいい?
マスター:そこそこかわいい。16歳くらいのおそらくマスターの娘だね。マスターは無骨だけど。
PC3:口説きます!!
マスター:どうぞ
PC3:「お嬢さん、一緒に星でも見に行きませんか?」
マスター(ウエイトレス):「注文はなんでしたっけ?スターライトなんてカクテルもありますけど、母が作りますよ?」
と言って、カウンターの美人のお母さんを指差した。
PC3:「いや、そうじゃなくて・・・」
マスター(ウエイトレス):「じゃぁ、注文を決めておいてくださいね

はぁーい」と言ってPC2のところに走って行った。
PC1:「おい、一番強い酒を瓶ごと持ってこい!!」
マスター(ウエイトレス):PC1に向かって「はぁい」と返事をしてPC2に向かって「ご注文は?」と聞いてきた。
・・・
などと進めているうちに、実はこの後、勝手にプレイヤー同士で喧嘩を始めて、
「酒場のマスターにそんなに血の気が余ってるなら、隣村のゴブリン退治でもやってやれ」と酒場をたたき出され、
宿屋 兼 酒場だったので、全員まとめて(他のPCもとばっちりで)野宿をして仲直りして
(酒場のウエイトレスを口説くために)ゴブリン退治に向かっていくということで話がまとまった。
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テーブルトークRPGは、ゲームマスターの技量に任されるところが多いが、
実は、プレイヤーの協力は不可欠で、まさに人間関係がよく出る。
この後、ただのゴブリン退治のつもりで向かった隣村で、国家対国家の陰謀劇の一端を担がされて投獄されたり、
仲間割れして別々の国についたり、
最後はまた結託してお互いの国の内情を考慮して円満解決まで持っていくという波乱にとんだ話になっていた。
もっとも、最後まで行くのに1カ月以上かかったんだけどね。
週2~3回、一回2時間程度のプレイで・・・みんなを集めるのが大変だったので、
途中投獄されたり敵味方に分かれたりしたのよ、実は(^^;
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私は、緻密なシナリオを用意しないほうなので、その時のプレイヤーの動きで酒場のような細かな描写をしてみたり、
時には、みんなの所持金を減らして「一週間後」とか言ってみたり、さまざまなプレイスタイルを組み合わせる。
先の例では、喧嘩を始めなければ、美女が「助けてください」と駆け込んでくるお決まりのパターンで行こうと思っていた(^^;
酒場のシーンだけで3時間以上やってそれだけでみんな満足して帰ったという時もあった。
別なある時は、十分に強いプレイヤーが「ゴブリンをやっつける」と宣言した途端に「勝ちました」と返した。
すると「ずるいぞマスターさいころを振らせろぉ」といったプレイヤーがいた。
RPGは物語を楽しむという目的があるので、結果のわかっている戦闘はしない主義なのだが、RPGの醍醐味は戦闘だと思っているらしい。
私の作らせるキャラクターは前述の通り、強い。
常人が逃げ惑う相手をいとも簡単に倒せるくらいは強く作らせる。
レベル1からコツコツと育てるプレイはさせない。
でも、専門の訓練を受けた屈強な兵士にはかなわないし、戦争になったら無力な一兵士になる。
つまり、人間離れした強さではない。
与えられた才能をどのように生かして、世界に対してどのような働きかけをして、
どういう役割(ロール)を担うのかを楽しんでもらうのがRPGだと信じているからだ。
RPGの醍醐味は戦闘だと思っているプレイヤーばかりの場合は仕方がないので戦闘中心のシナリオで最後に玉砕してもらうことにしている。
「あの後どうなったの?」とプレイヤーに聞かれるが「みんな死んじゃったから分からない」と答える。
だって、世界の観察者がいない先のことまで考えるの面倒じゃない?
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RtoLやトラベラーは私のプレイスタイルに合っている。
ソードワールドはVer.2はまだ見ていないが、以前のバージョンでは、
レベルアップとともに超人的に強くなり、最後は世界を破壊できるところまで強化されていく。
ダンジョン アンド ドラゴンズ(D&D)もこの傾向があり、最後のバージョンはイモータル エディションと言って売っていた。
つまり、プレイヤーキャラクターが「イモータル」になるのだ。
表紙も確か、光に包まれて飛んで行く人の絵で、「まさに人知を超えた神」といった雰囲気をぷんぷん匂わせていた。
ちなみに、トラベラーはSFものだが、現代もファンタジーもできる。(実際にやったことがある)
ただ、レベルアップという概念はなく、年齢修正と技能の取得という概念がある。
年齢修正は、「働き盛りはちょっと強くなって、年をとると老化する」というシステム。
技能は・・・説明が難しいが、四年間一生けん命(仕事の傍ら)がんばると身に着く程度のもの。
なので、普通の生活で必要なことは当然できる。+αだという意識が強い。
コンピュータという技能があって、これを1レベル身につけていると簡単なシステムなら構築できてしまうんだこれが(^^;
つまり、そんなことは気にせずにロールプレイを楽しみなさいと言っているんだね。
なんとなく、雰囲気は分かってもらえただろうか?
コンピュータRPGには無い醍醐味があるということが分かってもらえればありがたいかな?
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テーマ:日記・日誌 - ジャンル:コンピュータ
- 2009/09/09(水) 01:52:49|
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