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くわぽんのつれづれ日記

思うが侭、つれづれに書いています。ほぼ、毎日更新中!!

再生した地球にて(2) 第六章 (2/2)

「あぁ、腹減ったなぁ。」
私が扉を閉めていると、ユールが呟きました。
イゾルデさんに通訳しながら、「そうか、赤のユールの初めての食事か」と思い至りました。
生まれて初めての食事は大事です。美味しい物を召し上がって頂かなければ。
私は、自分で料理する事に決めました。

ユールとイゾルデさんにそう伝えると、残った素材をまとめていたアルテミスにユールの世話を任せ宿のキッチンに走・・・ろうと思いましたが、足の筋肉が痛くて走れなかったので歩いて向かいました。

事情を話してキッチンを貸して貰う事と、食材を提供して貰う事に成功しました。
ローブをラックに掛けると、食材の品質を一通り確認し、スパイスとソースを一通り味見し、キッチン裏に有る菜園のハーブの香りを確認しながらメニューを考えました。
時間はかけられません。鶏一羽、これをトマトとハーブで煮込みましょう。牛肉をひとかたまり、これはこんがり焼いて野菜とソース、じゃが芋の丸焼きと頂きましょう。鴫(しぎ)や雀もありましたが、雀を甘辛く焼いて添えておきましょうか。
主菜はパンを少し湿らせトーストにしてちょっと味付けしましょう。パンは上等の白パンです。個人的にはライ麦パンも好きなのですが・・・あれはアメリカ料理ですか・・・。
所要時間は元気なときで四十分ですね。ざっと十人前の量です。頑張ります。

・・・

料理は、何と三十分でできあがりました。宿のシェフと女将さんが手伝ってくれました。
オーブンなどは、いつも暖めてあるという事で直ぐに使えました。お湯も沸いていました。流石は料理店です。・・・当たり前ですか。そうですか。
シェフは、私の使う先文明の調理技術のいくつかを感心しながら見ていました。私は、独り言で説明しながら調理しましたので、いくつかは盗んで上手に使ってくれる事でしょう。

私は、宿の人に手伝って貰って、料理をユールのいる部屋に料理を運びました。
すると、宿の人の手配でティーテーブルがいくつも並んでいて、椅子も多めに並んでいました。
そんなに広くも無い宿の部屋に食事を全部並べられるように頑張ってくれたようです。

料理を並べ終わったとき、新しいお客さんが現れました。

自警団の団長さんと、何と私が最後に撃ったライカンスロープの下敷きになった兵隊さんでした。
私は、「丁度良かった、一緒に食事しましょう。」と言いながら、アルテミスに検疫機材の手配をお願いしました。
ライカンスロープが未知の病気を持っていた場合、感染している可能性が一番高い人ですからね。後で何とかしなきゃとは思っていたのです。

兵隊さんと団長さんは、お礼に来たつもりだったようですが、食事の誘いに応じてくれました。

ユールは、右半身はとても人に見せられる状態では無いので、失礼してローブのままでベッドの上で食事する事になりました。
「まだ、右手の神経が繋がらないな。」
とユールが愚痴っていましたので、
「食べさせてあげましょうか?アーンって。」
と冗談を言ってみると、
「いや、左手で食えるからいい。」
と素っ気ない返事が返ってきました。
「左利きなのですか?」
と聞いてみると、
「両手、同じように使える。」
と意外な返事が返ってきました。
私は、料理を取り分けて、片手で食べられるように、大きなお肉は一口大に切り分けて大きめのお盆にのせてユールの膝の上に置きました。
ユールは、
「おっ、旨そうだなぁ。」
と言い、「頂きます」と挨拶をしながら一人で先に食べ始めてしまいました。
「うん、旨い。」
私はその様子を嬉しく思いながら、テーブルに戻りました。

一緒に食事する方々には最低限の説明が必要ですよね。
と言う訳で、ユールにはいくつかの人格があって、人格ごとに見かけも能力も異なる事、今のユールは日本語しか話せない事を説明させて頂きました。

ユール以外のみんなは、空いているところに適当に座り、雑談をしながら食事を始めました。

驚いた事に、アルテミスは、ユールの隣で器用に同時通訳をしていました。ルナフォーのアルテミスは、飛行機の添乗員をする事があるので、同時通訳も出来る訓練を受けているようです。知らなかった・・・。私より上手です。

一緒に食事をする事になったのは、イゾルデさん、宿の女将、シェフ(宿の主人)、自警団の団長さんと兵隊さんです。

自警団の団長さんは、学院のスタッフがライカンスロープの死体をどうするかを指導していったと教えてくれました。学院のスタッフかユールのスタッフ以外は死体に触れない事、勿論、血液にも可能な限り触れない事、触れた者は戦闘の後に同じ建物の中など一カ所に集まってしばらく滞在するように言われていた事、血液に触ったときの処置の仕方まで指導された事を教えてくれました。
学院のスタッフは、最低限の防疫を行おうと考えてくれていたようです。
そして兵隊さんは指導された処置で血液を流してからここに来たという事でした。

私は、食事の後で検査して問題なければ直ぐに帰れる事を伝えました。兵隊さんは少しでも光明が見えた事を喜んでくれました。

ついでに、私の武器についてしつこく聞かれましたが、先文明の遺産で通す事にしました。

女将さんとシェフは、私に料理についてしきりに聞いてきました。異国の料理もあるので興味があるのでしょうね。でも、決まりであまり教えられないので、独り言なら言える事もあると、いくつかの料理の秘訣・・・と言っても、私の好みの調理法について独り言を呟きました。
シェフは、食事をしながら、懸命にメモをとっていました。アルテミスは明らかに私を睨んでいました。ユールは通訳されて状況を理解しているはずなのに、楽しそうに「それくらいで目くじら立てんなよ。」と言いながら笑っていました。

やがて、食事も終わり、検疫機材が届いたので、アルテミスと一緒に空いている部屋で兵隊さんの検疫を行いました。一時間少々の検査の結果、陰性。問題なしという結論になりました。
運良く(?)ライカンスロープの血液が僅かに残っていたので、マイクロウィルスやレトロウィルスについてもある程度検査する事が出来ました。いくつかの部位のサンプルもとらせて貰ってもしも問題があった場合、本人がいなくても検査出来るように準備して、とりあえず今夜は宿に泊まって貰うことにしました。

午後になり、私のアルテミスも到着したので、町の中と町の近くのライカンスロープの死体を調べる事にしました。
兵隊さんが血液を洗い流した水と拭った布の入った樽も検査の対象です。

結論から言うと、ネストに残っていた人たちも、ライカンスロープ達も問題になるほど危険なウィルスは保菌していませんでした。レトロウイルスも既に残っていない事が分かりました。
逆に、ネストの人たちにはネストの人たちが抗体を持っていないウィルスに対抗する為のワクチンを接種して貰う事になります。全てのワクチンの接種が終わるまでに半年近くかかります。その間に外で生活する為の教育を受けて貰い、外の世界の技術水準に合わせた生活の仕方と金銭感覚などを身につけて貰います。

でも、本当に問題なのはそんなに先の事ではありません。残ったライカンスロープをどうするか、あと、町長を退任させた後の町の治安維持と死んだ兵士達の遺族の生活の補償ですね。

夕方まで調査して大体の結論を得た私達はユールの待つ宿に戻りました。兵隊さんには、もう帰って良いと伝える事を忘れてはいけませんね。安心して家族の元に帰って頂きましょう。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2013/11/18(月) 12:16:54|
  2. 再生した地球にて
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