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くわぽんのつれづれ日記

思うが侭、つれづれに書いています。ほぼ、毎日更新中!!

再生した地球にて(2) 第六章 (1/2)

第六章 短い戦闘の後

私は、小走りにユールのもとに向かいました。

既に、三基のオートキャノンが塀の上に落下し、据え付けられた状態になっています。学院は、オートキャノンの設置を予想し、大気圏突入から直接設置出来る場所を数ヶ所準備していました。御陰で三基は大気圏に突入し、パラシュートとワイヤーアンカーで人手を煩わせる事無く設置が完了しました。

オートキャノンが設置されれば、少数のライカンスロープは恐くありません。索敵距離も長いので、森の入り口までは補足しているはずです。

私は、腫れ上がった筋肉をローブのナノマシンを治療モードにする事で何とか動ける状態に維持してユールの元に向かいました。

ユールは、さらに数匹と「いつもの」武器で交戦した様でした。ライカンスロープの焼け残りのような死体が五匹ほど増えていました。
ユールの身体は、肋骨の隙間は膜が出来て、横隔膜も最低限修復されていましたが、右半身はピラニアに食われたように殆どの筋肉が焼けてしまっていました。まだ、肘から先も修復出来ていません。

ユールは、ニカッと笑って、
「良くやった、頑張ったな。」
と言ってくれました。
私は、かなりびっくりしましたが、気が付くと、
「ありがとうございます。」
と返していました。

私は、町から、馬に乗った人が一人走ってきているのに気が付きました。イゾルデさんです。

私は、傷を隠す必要があると考え、自分の治療を諦めて、自分のローブをユールに被せ、治療モードを起動しました。
ユールは、息も絶え絶えに、
「すまない。」
と言ってきました。ムーンの予想からは全く想像も出来ない遣り取りが続いて私はどうして良いのか判らなくなっていました。
(もしかすると、このユールはそんなに気性が荒いわけでは無いのかも知れない。)

イゾルデさんは、私達から少し離れたところで馬を下りると、
「これ、必要ですか?」
と言って、昨夜貸したローブを差し出してくれました。私は、喜んでそのローブを羽織り、治療モードを起動しました。
これで、二人とも人並みの速度で歩けそうです。

私は、ユールの肉体を修復する為の骨材や筋肉素材を学院から取り寄せる手配をして、ユールを左側から支え、町に向かって歩き始めました。幸い、右足は大やけどくらいで済んでいるようです。

イゾルデさんは、ユールの状態を見てしまったのか、馬に乗れと言う事も無く一緒に歩いて付いて来ました。
ローブの助けがあったとしても、馬の揺れに耐えられる状態ではありません。

私達が言葉少なにゆっくり歩きながら町の門をくぐったとき、町長のいやみったらしい笑顔が迫ってきました。
「いやぁ。助かったよーありがとーやるもんだなぁ。がはは」
私は、怒りがわき上がるのを感じました。その時、
「ルナ、傷に障る。とりあえず休もう。」
とユールが優しく声をかけてきました。
ユールはフードの中で町長に見えないようにニカッと笑っていました。
私は、その顔を見て落ち着きを取り戻し、
「宿を、傷の手当てをしないと。」
とだけ喋りました。
すると、イゾルデさんが、
「私の泊まっているところが近くに、隣の部屋は空いていたはずです。」
と言って先導してくれました。
私達は町長を置いてけぼりにして歩き出しました。
「お・・おい。」
町長が声をかけてきましたが、無視しました。

ユールは、きっと私が怒りを感じて筋肉をこわばらせたのを感じて私を落ち着ける為に休もうと言ったに違いありません。そうだとすると、やはり、赤のユールはそんなに好戦的な人物では無いのではないでしょうか。

私達は、宿の部屋のベッドにユールを横たえ、ユールが小さくなった際に身体から出てきたはずの肉体の素材を探しました。が、何処にもありません。
ユールは、
「あーあれかぁ。全部燃料にしちまったよ。」
とあっけらかんと言い放ったのです。

いよいよ、学院からの荷物待ちです。と思ったら、思ったよりも早く骨材や筋肉素材が届きました。
何と、ネストの部隊が身体一つ分持って来ていたのです。輸送用の小型飛行機体(エアバイク)は見られてしまいましたが、この際、仕方有りません。私は、腕の骨材を取りだし、肘から下を切り離して焼け落ちた部分に取り付け、その周りを筋肉素材でぐるぐる巻きにして固定しました。また、筋肉が焼け落ちた部分にも筋肉素材を巻き付けていきます。

ユールの身体は、素材が無い場合、空気や土から素材を作り出す為、修復に恐ろしく時間がかかります。ユールはその間痛みに苦しみ続ける事になります。筋肉素材や骨材はナノマシンが加工しやすいように作られた肉体の素材です。中には、休眠状態のナノマシンも織り込まれているので、括り付けると、直ぐに肉体の修復が始まるのです。

イゾルデさんも頑張って手伝ってくれました。イゾルデさんは、流石に辛そうな顔をしていましたが、ユールは女性同士で良かったと言って笑っていました。

そこに、来客がありました。町長です。
私はユールにローブを着せると、身体を起こさせ、足に布団を掛け、フードを浅く被せました。

ユールの意思を確認してから扉を開けました。

『やぁ。ユール殿、良くやってくれた。・・・あれ?ユール殿じゃ無い?』
ととぼけた事をフランス語で話し掛けてきた町長に、通訳もしていないのに
「誰もお前なんか助けてねーよ。」
とユールが日本語で返しました。私は、
「今の、翻訳するですか?」
と聞いてしまいました。ユールは、
「当然だ。俺の発言はそっくり訳せ。」
と言って来るではありませんか。私は、スラングバシバシでニュアンスまで可能な限りそのまま訳しました。
『えっ?いや・・・あの・・・』
「町にお前一人だったら、俺は戦わないで眺めてたね。お前が食いちぎられるところを。」
難しい翻訳です。シェアの能力全開です。発音難しぃ。
『あぁ・・・オホン。それで、色々考えたのですがな。私の妻になって頂けないですかな?』
「求婚されています。」
こっちは、翻訳する気も起こりません。簡単に伝えます。
「なぁるほど。結婚しちまえば妻が夫を助けるのは当然で男爵の権威に傷が付かねぇと、そういうことか。」
頑張って訳します。
『はっはっは、冗談が上手ですな。』
「誤魔化しています。」
ユールは、ため息をついてから、
「帰れクズ。お前の男爵の地位を剥奪する。王に伝えておく。新しい町長は選挙で決める。」
と言い放ちました。
私が翻訳し終わると、
『なっ何の権限があって・・・』
と狼狽していましたが、ユールは、私が翻訳する前に、
「お前の家にあるはずの爵位授与の銅板のサインが誰のものか、見直してこい!!」
と言い返していました。
私が翻訳し終わると、町長・・・いいえ、元町長は這い這いの体で元は自分の家であった場所に戻っていきました。

そうでした。二百五十年程前、貴族制を復活させるとき、教会が既に無く法王もいなかったので、国の形を作るのに尽力した黒のユールが爵位を認める形をとったのでした。ただ、そのままだと、国王がユールの下にいる事になってしまうので、同等である事を示す為に、仕方なく、公爵の地位を請けたのでした。

それ以来、ヨーロッパでは、爵位の与奪の権限がなし崩し的にユールに与えられているのです。

と言う事は、この件は、黒のユールの入れ知恵ですね。
まぁ、何となく気分がすっとしたので良い事にしましょう。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2013/11/06(水) 23:54:47|
  2. 再生した地球にて
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