短い昼食を終えて、カストゥルとポルックスを呼んだ。
「明日は港町までの短い距離になりますから、今日は頑張って下さいね。」
ユールは優しくカストゥルとポルックスに話し掛けた。二頭は、納得しているように嘶いて、馬車の前に移動した。俺は、トイレを済ませてから馬車に乗り込んだ。あれ?そういえば、ルナはトイレに行くのに、ユールがトイレに行ったの見た事無いなぁ。何時トイレに行っているんだろう。馬車に乗り込みながら、出来るだけさりげなく
「ユールはトイレは良いの?」
と聞いてみた。ユールは、
「あぁ~。気がついちゃいましたかぁ。」
「えっ。気がついちゃったって?」
「・・・私、トイレに行かないんです。」
ルナが馬車を走らせ始めた。
「え?でも、食べてるよねぇ。」
「・・・私・・・ほとんど汗もかきませんし・・・トイレにも行きませんし・・・垢も溜まらないので・・・水浴びもお風呂もお手洗いも必要ないんです。・・・変ですよね。服の汚れも・・・勝手にきれいになるので汚れを気にした事も無いなんて・・・」
そういえば、洗濯もした事無いっていっていた。どういうことだ?
「不死になった副作用というか・・・不死なのと同じ理由でそうなってしまったのです。」
「じゃぁ、本当の理由はわからないの?」
「何が起きているのかは判っています。でも、自分ではどうしようも無くて・・・」
「何が起きているの?」
「食べたものは、最終的にはほとんどが空気になってしまっています。私だけならご飯を食べなくても、空気から栄養を得る事も出来なくは無いです。疲れますけど。」
「すげぇ。」
「気持ち悪いですよねぇ。こんなの。いずればれてしまう事ですから隠しません。でも・・・」
「すげぇ羨ましい。」
「え?」
「いいなぁ、俺もそうなりたい。」
「ならなくて良いですよ。私は、生まれたときからお手洗いに行った事が無いのでよくわからないんです。人と違うと皆さん変な目で見るんです。良く分かっていますから無理しなくても良いです。惨めになります。私。」
ちょっと膨れっ面のユールもかわいい。
「うん。羨ましい。みんな羨ましいから色々言うんだよ。気持ち悪いなんて事は無いよ。でも、必要ないっていう事は振りをする事は出来るんだよねぇ。」
「確かにそうなのですが、経験が無いのでどんなものなのか、それをし無いとどうなるのか、そこが判らないので真似するのが難しいんです。」
「あー、根本的なところだね。」
「長く一緒に居ると直ぐに気が付かれてしまうんです。」
「そうかも、でも、気にする必要は無いよ。俺は気持ち悪いなんて思わない。羨ましいとは思うけど。」
「ありがとうございます。その辺りを判って頂かないと一緒には住めませんね。タケルと居ると色々勉強になります。そういう意味でも、ありがとうございます。」
「いやぁ、おれ、何もしてないし。」
ちょっと照れるな。気にする人は気にするんだろうなぁ。不死の原因って何なんだろう。本当にどうしようも無いのかなぁ。何とかしてあげられれば良いのに。
「不死の理由って言ってたっけ?それって・・・?」
聞いてはいけない事かもと思いながら聞いてみた。
「説明は簡単なのですが・・・理解して頂くのは難しいと思います。・・・私の身体の三分の一は小さな機械なんです。とても小さな、病原菌のようなものなのですが・・・何となくでも判りますか?」
「んー」
「とても小さな虫よりもさらに小さな機械が私の身体を常に正常に保とうと身体の中や表面を動き回っています。その正常というのが・・・」
「服も汚れていないし、身体も清潔な状態?」
「そういうことです。その小さな機械も半分は私達の言う事を聞いてくれるのですが、半分は別の意思で動いています。」
「別の意思って?」
「私達を生かし続ける意思です。何の意思なのかそれは判りません。もう一人の私が言うには自然の意思では無いかという事です。自然の意思は自然の記憶を使って私達を今の状態に維持しています。私達はこの脳を破壊しても記憶を失う事が有りません。そして、集中する事で自然の記憶を引き出す事が出来ます。」
「それってどういうことなのかなぁ?」
「簡単に言うと、身体のほんの一部が残っていれば、身体が傷ついた時の痛みも含めて一切の記憶を失う事無く元通りになるという事です。深いところは・・・私にも判りません。何の為にどういう理由でこんなことになっているのか・・・知りたいです。」
「難しい話だね。・・・でも、一つだけ判ったのは、その自然の意思っていうのがあったから俺たちは出会えたんだな。だったら、俺は自然の意思に感謝しなきゃ。」
「それって・・・・・・ありがとう・・・ございます。」
何で感謝されたのか判らなかったが、感謝されたんだからと気にしない事にした。ユールはもう喋らなかった。
昼間は曇り勝ちだった天気は、夕方にはきれいに晴れ渡っていた。きれいに星が見える良い夜になりそうだが、満月に近い月も出るので暗い星は見えないだろう。そういえば、夜に温泉に入るって言っていたなぁ。初めてだから楽しみだ。
いい加減おしりの痛みも頂点に達するかという頃、馬車が街道の路肩に寄せるように止まった。よく見ると、かなり古い焚き火の後がある。ルナは、昨日のように手早く準備したが屋根は張らなかった。俺たちも薪を拾ってきたが、湿っていたので馬車に積んでおいた薪で火をつけた。
今日の晩ご飯はひっつみと言う料理だった。小麦粉を水に溶いて出汁や野菜を煮た汁の中につまんで伸ばして落としていく。茹で上がったらできあがり。見ていると簡単な料理だったので日が暮れる前に完成し、食べている間に暗くなった。
簡単な料理の割には美味しかった。
まだ、月が低いので月明かりが少なかった。ルナは松明を準備して火をつけ、焚き火を炭火にして火の付いた薪を焚き火から下ろし消した。そして、炭火の周りに石を積んだ。この状態でも、火は五~六時間は持つだろう。薪をくべれば直ぐに燃え上がる状態にした。ルナも火に関して手際が良い。多分、このままこの場所を離れるので山火事を防ぐ為の作業だろう。いよいよ温泉に向かうのだ。
温泉は、街道から獣道を通って降りて行った先、一五分ほど歩いた河原にあった。実際には、遠くから引いた温泉を河原で川の水と混ぜられる様に作った大きな水たまりだった。温泉は小さな小川くらい流れていた。うまく表現出来ないが、手桶をあっという間にいっぱいにするくらいの流れだ。しかし、やけどするくらい熱かった。
「ここの源泉はぐつぐつと沸騰するくらいの熱さなんです。ここまで引かれて来る間に少しは冷たくなっているんですが、これくらい熱いと昔は、湯揉みと言ってかき混ぜて冷ましてから使っていた地方もあるらしいです。」
とユールが言った。男のユールは先文明の頃何度かこの温泉に浸かったので、懐かしく、わざわざこんなものを作ったらしい。丁度、山間から月がのぞき、辺りを照らし出した頃、温度を調節し終わったルナが「このくらいでしょうか」と言った。
「では、浸かりましょうか。」
と言ってユールは徐に服を脱ぎ始めた。
「えっ、ちょっ、えぇぇぇっ。」
俺は慌てて、でも、脱ぎ始めたユールを凝視してしまった。
「何か?」
ユールは白いドレスを脱ぐと、簡単にたたんで岩の上に置いた。下には何もつけていなかった。馬車から持参した手桶を持ち、しゃがんでお湯を汲み、自分に数回かけ、そのまま湯船に入った。白い肌を流れる水は、月明かりの中でとても美しかった。
そこまでしっかり見届けてから、
「俺、男なんだけど。」
と発言してみた。ユールは、たっぷり考えてから、
「・・・えっ。・・・でも・・・温泉ですから・・・気にしないで入って下さい。ここは二十人は入れるくらい広いですし・・・」
と、温泉のせいか、俺の発言のせいか、顔を赤らめながら言った。
ルナは、水の取り込み口になっている水たまりの反対側に松明を立てて、こちらに向かって服を脱ぎながらやってきた。服を同じように岩の上に置き、ユールと違って下着も脱いで岩の上に置いてから、手桶を使って同じように身体を流し、ユールよりは時間をかけて汚れの溜まりやすい部分をもう片方の手でこすったり流したりしてから、手桶を俺に渡しお湯に浸かった。
ルナは、
「男は度胸ですよ。自分だけ服を着て突っ立て居たら只の覗きですよ。この変態。」
と言ってからかってきた。仕方なく、服を脱いでルナと同じように汚れを流してからお湯に浸かった。少し息子が大きくなっていたので一生懸命さり気なく隠しながらお湯に入った。
お湯には少し白いゴミのようなものが浮いていた。ユールは、
「白いのは湯ノ花と言ってゴミでは無く、温泉に溶け込んでいるものが冷えたり空気に触れたりして固まったものなんです。この温泉は湯ノ花が少ない方なんですよ。」
と教えてくれた。
「温かいお湯に入るなんて初めてだよ。」
と俺が言うと
「多分、赤ちゃんの頃はお母さんがお湯に入れてくれているはずなんですけどね。先文明の後期では日本人は殆どの人がお風呂で身体を洗っていました。お風呂は、温泉とは違いますが、そう・・・川の水や井戸の水を湯船という身体が丁度入る少し大きめの桶に貯めて暖めてお湯にしてから入っていたんです。三百年前は王都にも普通の家にお風呂はあったんですが、湯船を作れる人が居なくなってしまって、ついでに電気が無くなってお湯を貯める方法が無くなって、結局失われてしまいました。王城では今でも入れますけどね。・・・あっ、内緒ですけどね、てへっ。」
と最後は多分失言だったんだろう。ルナもあきれ顔で見ている。でも、そうか、湯船があれば家でも暖かいお湯につかれるのか。
「桶って言うくらいだから木だったのか。」
と呟くと、ユールは困ったような笑いを交えながら
「木で作ると、水をお湯にする為に火を使ったら燃えちゃいますよね。原始的な湯船は五右衛門風呂と言って鉄のお釜を大きくしたようなものだったようです。でも、お釜にそのまま入ると火に当たっているところはやけど出来るくらい熱くなるので、木で作った簀の子を浮かべておいて簀の子を踏んでお湯に浸かったようです。」
と、手でお釜の形や簀の子を踏んで沈めながら浸かる人の格好を作りながら説明してくれた。
「なるほど、頑張れば作れるなぁ。」
「でも、同じお湯を使い続けると臭くなってしまうので、お湯を入れ替えられるようにする必要があるんです。五右衛門風呂では頑張って汲み出して水を入れ替えていたようですが、底の方に火には当たらないけど家の外に水を流せる穴を開けて栓をしておくとか、結構工夫が必要なんです。」
「帰ったら作ってみようかなぁ。」
「学院の施設でお風呂について調べてみたらいかがですか?卒業生ならある程度の情報は施設で教えてくれますよ。」
「成る程、挑戦してみよう。」
なんて会話をユールとしていると、ルナがお椀一杯の冷たい水を渡してきた。
「慣れないと湯あたりする事があります。お水を飲んで下さい。」
直ぐに従った。冷たい水が喉に気持ちよく落ちていく。
「お水も美味しいねぇ。」
と嬉しそうにしていると、ルナは冷たく言い放った。
「お水が美味しいという事は、湯あたりしかけていたという事かも知れませんよ。」
「へ?」
「お湯の中にいると、人は汗をかくんです。水の中にいるのに身体が水不足に陥って、最悪・・・死にます。」
「えぇぇぇ!!」
ユールは笑って
「脅しすぎですよ。だいたい、その前に逆上せてしまう事の方が多いですけどね。」
「逆上せるって?」
恐る恐る聞く俺にユールは、
「少し立ってみて下さい。」
俺は言われるがままに立ち上がってみた。すると、しっかりしているつもりなのに頭がふらふらして倒れそうになった。
「あれ?おっと。」
倒れそうになった俺をユースが抱き留めてくれた。ユールの身体が俺に密着した。暖かく撓わな胸が俺の胸に押しつけられる。
「これが逆上せているという状態です。身体が温まるとちょっとふらふらするんです。少し湯船の縁に腰掛けてお話ししましょうか?」
と言って俺を縁に座らせてくれた。縁は、岩をしっかり組んで積み上げられていた。座ってもびくともしない。
ユールは白くふくよかな胸を隠す事も無く隣に座った。俺は目のやり場に困った。
「そのぉ、恥ずかしくない?やっぱり、裸だし。」
とユールに隠すよう提案してみた。ユールは平然として俺の方を見てきた。
「アナタに隠す必要も無いと思っています。見せつけるつもりはありませんが・・・それとも、何か変でしようか?他の方と違うとか・・・醜いと仰るなら隠します・・・」
と俯いて少し隠すようにした。俺は慌てて、
「そんなこと無いよ、俺、他の人のはあまり見た事無いけど、きれいだよ。目が行って困るくらい・・・あっ。」
ルナが居る事を思いだし、ルナを見るとルナは湯船の反対側で同じように縁に腰掛けて足をバタバタさせていた。珍しく気を使ってくれているのかな?
「小さい子の方がお好きですか?」
とユールは耳元で少し怒った口調で俺をびっくりさせた。俺は飛び上がって、
「わぁぁ、そんなこと無い、ユールの方が綺麗だよ。」
とほざいていた。ユールは驚き顔の後、優しく微笑んだ。
「良かったです。」
と一言だけ呟いたユールはそのまま月を見上げた。
「月も綺麗だね。」
「私と比較していますか?」
「まさか、君の方が綺麗だよ。」
と俺が言うと、ユールはそっと身体を預けてきた。下から見上げるように俺の顔をのぞき込むと、
「本当にそう思っているなら・・・少しで良いから・・・証拠が欲しいです。」
と囁いてきた。
俺は・・・俺の理性は限界ぎりぎりだった。
「だっだめだよ。」
俺はユールの身体を必死に突き放していた。
直ぐ足下の水面から声がした。
「根性無し。」
「へっ」と驚くと、音も無く近づいてきたルナが水面から顔だけを出して俺の顔を見上げていた。
「甲斐性無し。・・・ヘタレ。何が『おれ、男なんだけど。』ですか。だったら男らしく根性見せてみなさい。」
「それとこれとは話が違うだろ。」
とルナと口論していると、ユールが静かに立ち上がり、
「ルナ、少し話を聞いてもらって良いですか?」
と言っておれに顔を見せないようにして湯船の反対に移動していった。
ルナは、少し怒った口調で
「違わないんですよ。ユールにとってはね。」
と捨て台詞をはいてユールの前まで行くと、湯船の縁に腰をかけ、こちらを向いて座った。ユールは向こうを向いたまま、ルナと話しているようだったが、川のせせらぎと温泉の流れ込んでくる音が邪魔して話している内容は聞き取れなかった。ルナは話すときにユールの耳元まで顔を寄せて囁くように喋っていた。まるで、ルナがお母さんでユールが子供のように見えた。
「年齢的にはどう見ても逆なのになぁ。そういえば、俺と仲良くするきっかけもルナが言ったからって言ってたっけ。ユールはルナの言う事は聞くのかなぁ。」
そんな事を独りごちしながら湯船に沈んでみたりした。
暇になった俺は、温泉に背泳ぎの要領で目を瞑って浮かんでいた。しばらくすると、ユールの声が耳に入ってきた。
「彼を責めないで下さい。」
「ヘタレにヘタレと言う事は責めるのとは違いますよ。」
と言うルナの声が聞こえたかと思うと、目を閉じてお湯に顔だけ出してぷかぷか浮いていた俺の顔に誰かの手がかかりお湯の中に押し込まれた。突然、空気を奪われた俺はお湯の中で混乱して暴れた。
気が付くと、俺は、俺の頭はユールの胸に抱かれ、
「ルナ、悪戯が過ぎます。」
とユールがルナを怒っていた。ユールは優しく俺の顔を覗き込み
「大丈夫ですか?ルナが・・・すみません。」
と謝ってきた。俺は、しばらくの放心の後、慌ててユールから離れ、お湯の中で正座すると
「いえいえ、とんでもございません。」
と返していた。
ルナは笑っていた。しかし、ユールの瞳には潤んだ様子があった。俺はまたユールを泣かせてしまったらしい。でも、一時の感情に流されたり、劣情に任せたりしてユールに手を出したくなかった。本当はユールにもそう言いたかったが、多分、そう言ってもユールは気にしないで手を出して欲しいと言うんじゃないかと思う。俺は、本当の意味ではユールの気持ちを信じ切れていないのかも知れない。それに・・・怖いんだ。
ユールはその後は明るかった。
「ルナも溺れさせる気は無かったんだと思います。許してあげて下さいね。」
とユールが弁明すると、ルナは
「私は溺れさせても良いと思っていましたよ。」
と悪びれる。俺が
「じゃぁ、お前を溺れさせてやろうかぁ。」
と野太い声で脅すと、二人して「きゃぁ~~っ」と怖がってみせる。
何てことをしていた俺は、ふっと、ユールに聞いてみたい事が出来た。
「ユールは溺れるとやっぱり苦しいの?」
と、すると、ユールは突然の質問にびっくりしながらも、
「溺れませんよ」
と変な返事をしてくる。
「いや、溺れたらさぁ。」
「溺れません。」
「えっと。水の中に沈んだら苦しいよねぇ?」
「いいえ。苦しくありません。」
「そうなの?」
「はい。水って空気で出来ているんですよ。だから苦しくありません。」
「・・・何の冗談?」
「私にとって、水は空気と一緒なんです。水は、酸素と水素から出来ています。人間が欲しい空気は酸素なんです。私は水を分解していくらでも酸素を作り出せるので苦しくありません。」
「そうなんだ。」
「でも、冷たい水だと酸素を作ると疲れるんです。温泉ならこの暖かさを利用出来るのであまり疲れません。」
「うわぁ」
良く分からないけど、水攻めは効かないらしい。
「そう言えば、俺たち結構長く温泉に浸かってない?」
「そうですねぇ。かれこれ1時間くらい?」
と言いながらユールはルナを見た。
「四八分くらいですね。」
ルナは淡々と応えた。
「水浴びや行水じゃぁこんなには入ってらんないねぇ。」
俺はしみじみ呟いた。その呟きにユールが反応した。
「こうして、のんびり入れるところと、湯冷めし難いところが温泉の良いところです。こうやってのんびり入るのが好きなんです。」
「そうだねぇ。いい加減、二人の裸にも慣れてきて、落ち着いては入れるよ。」
これが俺の失言だった。ユールは即座に反応した。
「私の身体はそんなに魅力無いですか?一時間足らずで飽きてしまうほど貧相ですか?よく見て下さい。」
と立ち上がった。当然、色々見えてしまうわけで、俺は慌てて目を瞑って恐いものを払うように頭の前で手をわたわたさせながら
「違う違う、お願いだからそんな魅力的な身体見せないで、我慢出来なくなるから・・・」
「我慢なんてしないで下さい。」
とユールは俺の手を取って柔らかいものにそっと当てた。
俺はその感触の正体が知りたくて思わず目を開けてしまった。そして、気を失った。
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テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
- 2013/02/26(火) 12:49:30|
- 再生した地球にて
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声優で俳優の本多知恵子さんが死去されました。
多発性ガンだったそうで、年もそんなに離れていなくて、
結構お気に入りの声優さんだっただけに、残念です。
ご冥福をお祈りします。
- 2013/02/24(日) 17:49:56|
- つれづれ日記
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第七章 ユールとルナ
「この二日ほど盗賊は顔を見せていないようです。」
と、唐突にルナが喋り始めた。
「タケルはローブを羽織っておいてください。寒くなりますよ。」
ルナの畳み掛ける様な発言に俺は圧倒されるようにローブを羽織に馬車の中に移動した。
「ユール、何故情報遮断しているんですか?」
ルナは何の話をしているんだ?ルナはまだ一方的に話している。
「アナタの指示があればもう少し詳細な情報もとれるのですが、どうしますか?今は、王都の門番が持っているほどの情報も収集出来ません。」
ルナの問い合わせに、ユールは、
「・・・これは私の我が儘なので、国王の手の物を動かすわけには行きません。情報遮断は・・・これも私の我が儘です。タケルと一緒にいる間は・・・我が儘に付き合ってください。」
「判らなくも無いですね。普通の人でいたいと言うことですか。いざとなったら許容出来ませんよ。」
「判っています。・・・判っています。」
二人の会話に入ってはいけないが、俺がきいてもいい話なのか?
「戻った。」
俺は、ローブを羽織ると、元気よく声を出しながら元の御者席に戻った。
「俺がきいてもいい話?」
ルナの返事は素っ気ない物だった。
「私には判りません。ユールに聴いてください。」
今までの二人には無かった反応だった。
「どうしたの?」
俺は、ルナの苛立った発言に落ち着いて欲しいという意味も込めて優しく話し掛けた。すると、返事をしたのはユールだった。
「私とルナは、普段は声を使わなくても会話が出来るんです。」
「凄いね。」
俺は驚嘆して見せたが、ルナはその事も気に入らないというように
「凄いわけではありません。先文明の技術です。当時としては一般的な物です。」
と冷たく言い放った。さらに畳み掛けるように事情を説明してくれた。
「でも、ユールは私とのコネクションを切断したんです。・・・私との会話の維持を拒否したんです。」
「どうして?」
ルナの向こうで俯いているユールに向かってきいてみた。
「ルナは・・・常に月のルナの本体と繋がっています。ルナの本体はムーンの持つ膨大な情報と繋がっていて・・・ムーンはこの世界で起きているほとんど事柄を監視していてルナと・・・その情報を共有しています。知りたく無い事も・・・知る事が出来てしまうのです。特に、今ルナは二つの情報を調査しています。一つはタケルの事、もう一つは・・・王都の近くに出没している盗賊の事です。」
ルナは、苛立たしげに、
「ユールの為だと思って調べているんですけどね。それが気に入らないようです。」
と言うと、ユールは即座に「違います。」と否定した。ユールはしばらくの沈黙の後、
「ルナには本当に感謝しているんです。でも・・・正直に言うと知るのが怖いんです。今、ルナが調べてくれている事を知ってしまうのが怖いんです。・・・こんなに怖いと思うのは・・・初めてなんです。」
と呟くように囁いた。実際、俺には話の半分も判らなかったが、何と無しに呟いていた。
「俺の事は、ルナから知って欲しくないな。俺自身から知って欲しい。俺、自分の事では嘘つかないよ、約束する。隠し事も出来るだけしないから、俺から聴いてくれ。」
ユールは驚いたように俺を見て居たが、突然優しい顔になって、
「では質問です。私の事は好きですか?」
と意地悪に聴いてきた。
「もっ勿論、大好きだよ。」
「なら、何故抱いて下さらないのでしょう。」
「だって、結婚してないし・・・」
突然、悲しそうな顔になり、
「結婚は・・・絶対に必要ですか?私と・・・より親しくなる為に・・・」
と言いながら、視線はだんだんと下に落ちて行ってしまった。
「結婚は、やっぱり必要だと思うんだ。子供が出来る行為をしようとするんだから・・・違うかな?」
俺の方を睨むように見ながら、叫びにも近い声で
「私が、結婚しなくても良いと行っても、結婚しないと私を・・・」
とそこまで言うと、また、視線を下げて、つながりが無いような事を言い始めた。
「私には、子供の・・・少女の頃が無いんです。」
「えっ」突然何を言い始めたんだろう。
「私は、生まれたときから、この姿なんです。」
「・・・」
「私には、多分、タケルが周りの人々から与えられてきた道徳観や周りの人たちの結婚式などから得てきた結婚への憧れや結婚という行為の持つ意味付けと言ったものを全く経験していません。」
「・・・?」
「だから、正直に言うと、結婚したいと言ってくれたあなたの気持ちを・・・理解出来ないんです。」
「・・・な・・・に・・・?」
「ただ、結婚した人は同じ家に住み、共に生活するのがこの国の風習だという事は理解しています。」
「え?風習?」
「でも・・・私は・・・アナタの家でずっと生活する事は出来ません。」
「風習・・・って?」
「え?」
ユールは突然のように俺の声に反応した。
「私の言っている事おかしいしいですか?意味、通じませんか?」
「言っている意味はわかる。でも、風習って言われると・・・なんか違う気がする。」
「あぁ、そうですね。実は、結婚後の生活については、国によって若干差があるんです。なので、私の感覚では、風習なんです。たとえば、国によっては、別々に住んで、用があるときは男性が女性の家に通うという風習の国もあるんです。」
「そういうことか、だから風習っていう言い方になるんだ。」
「怒っていますか?」
「いや、感覚が違うんだって言う事は何となく判った。そうだね、俺には結婚に対する憧れや義務感みたいなものがあるのかも。子供を産んでもらう人とは結婚しなきゃいけない。みたいな・・・」
「多分、そうなのです。でも、私にはそれが無いのです。だから、出来れば、私に歩み寄って欲しいと・・・そう思っているのです。」
二人の会話にルナが突然割り込んできた。
「ここから山道に入ります。道が悪くなるので、二人だけで会話するなら馬車の中に移動して頂けると嬉しいです。私を挟むと声が聞き辛くなりますよ。」
俺は、ルナに感謝した。
「そうだな、馬車に入ろうよユール。ありがとう、ルナ。」
と言って馬車の中に移動した。
「いいえ、何てことありません。揺れますから気をつけて下さいね。」
ルナはもう怒っていないようだ。ユールもルナに、「お願いします。」と言って、馬車の中に来た。
俺は、ユールと良く話さなきゃいけないと思った。二人の間には感覚の違いとしてはもしかしたら絶望的なものがあるのかも知れない。
ユールが幌の中に入って来たとき、馬車が大きく揺れた。どうやら上り坂に入った様だったが、ユールは対応出来ずに俺目掛けて倒れ込んだ。
「いたたっ」と言いながら顔を上げ、俺を見上げるようにしながら「ごめんなさい。大丈夫でしたか。」とこちらを伺った。その後、起き上がりながら、
「ルナ、態とやりましたね。」
と怒って御者席に向かって怒鳴った。
「何のことでしょう。ニヤリ」
わざわざ声に出してニヤリってどう考えても意図的ですよねぇルナ。
二人で何とか起き上がり、幌を背にして向かい合うように備え付けの物入れを椅子にして毛布を座布団代わりに向かい合って座った。
四輪の馬車だけ有って結構大きいのだけど、何せ荷物が少ない。三人の一週間分の食料と調理道具が一箱ずつ、水の樽が一つ、果物の入った箱が一つと、両脇の備え付けの二メートルちょっとの長い箱が二つ。それ以外は床がそのまま見えている。箱の間の場所だけでどうにか二人が並んで眠る事が出来る。箱の一番後ろは最初に座った後ろ向きの椅子になっている。馬車の両脇は箱より高い壁になっていて、摑まれる隙間が所々に空いている。その壁の上から棒が伸びて幌を支えている。
日本は再生直後、大量の物資の輸送は船で行っていた。
しかし、技術の衰退で大きな船が維持出来なくなり、幌馬車で隊商が組まれるようになった。今も町は数えるほどしか無いので、多くの隊商は王都から工業製品を持って来て、町から穀物や綿、絹などを持って帰るという行ったり来たりの商売で成り立っている。
だから、幌馬車は今では結構一般的な乗り物なのだが、折角なのだから色々積んでいけば良いのにとか貧乏根性を出してしまいたくなる。
ユールはしばらく黙って俺を見ていた。そして、
「さっきの続きを話しますか?私は別の話でも良いと思って居るのですが。」
と少しはぐらかしたいような雰囲気を醸し出して居たが、俺はあえて話を切り出してみた。
「ユール、ユールは俺に歩み寄って欲しいと言っているけど、ユールは歩み寄れないの?」
「結婚したいという意味ですよね。・・・たとえば、五年後に離婚してくれるという約束をいただけるなら、結婚しても良いです。」
「ん~~。それって、俺の考える結婚と違うんだよね。」
「知っています。と言うべきでは無いかも知れません。『そうであろう』と思っています。だから、結婚出来ません。」
「そこは歩み寄れないところなんだ。」
「歩み寄ると・・・とても面倒な事になります。だから・・・私の為とか、アナタの為とか、どちらかの我が儘とかそういうことでは無く、歩み寄るのは・・・無理なんです。・・・『もう、あんな思いはしたくないし、させたくない』って言ったら判って頂けますか?」
「・・・ごめん、具体的に話してくれないと判らない。」
「・・・具体的な話にすると・・・あなたの人生を変えてしまう恐れがあります。人は、愛だけでは生きていけません。アナタは、タケルはまだ理解していないような気がするんです。だから、具体的には話せません。」
「俺が子供だと?」
「許して頂けるなら・・・そうです。・・・私は・・・間違いなくそう言っています。」
それまで俺の目を見てくれていた瞳は今は真下を見ているようだった。肩は小さく震えている。馬車が揺れているからでは無い事は明らかだった。
「怒ってないよ、大丈夫だよ。」
俺は、出来るだけ優しく声をかけた。
「私、自分でもかなり酷い事を言っている事は判っているんです。でも、私にも譲れない事はあるんです。」
声も震えていた。
「そうだな、ユールは最初仲良くもならないって言ってたんだから十分歩み寄ってくれたんだな。今度は俺が歩み寄る番か・・・。うぅぅぅぅ。」
「無理しないで下さい。自分の価値観を、子供の頃から作り上げてきた価値観を変えるという事は心に非常に大きな痛みを伴うんです。・・・悩むなら、すぐには約束をしない方が良いと思います。タケルの良いところが壊れてしまっては本末転倒ですから。」
ユールは慌てたように歩み寄り、俺の肩を抱き寄せ俺の頭を適度にふくよかな胸に納めた。俺は、ユールの胸から母親のような女性の香りを嗅いでいた。
「ゆっくり考えなければいけない様なら、無理はしないで下さい。まだ、慌てるときではありません。」
俺は、やっぱり悩んでいた。ユールは悩むなら先送りしろと言っているが、ユールは許してくれるが、これは間違いなくユールに失礼なんだろうなぁ。本当に先送りして良いのかなぁ。
俺たちは、二人で色々話し合った。でも、重要なところでユールは口を閉ざす。俺が何故ユールが結婚を拒むのか知りたがっている事が伝わってしまうので、ユールは警戒してなかなか核心に近づかせてくれない感じだ。
でも、時間は経つわけで、馬車に揺られながらお昼の時間になった。
「ここまで順調なので、食事時間は馬車を止めます。」
ルナが振り向いて話し掛けてきた。ユールはにこやかに
「ルナに任せます。」
と返すと、ルナは、少し誇らしげに、
「目的地の到着予定は十六時頃ですが、今日は十六夜で晴れる見込みなので温泉には夜でも入れると思います。」
「久しぶりですね。あまり荒れていないと良いのですが。」
「温泉って何?」
俺は結構間抜けな質問をしていると思う。たぶん。
「温かい湯が沸き出している泉なんです。」
「あぁ、知ってる。山の方にある奴だ。早瀬川の近くにもあるらしいけど、熊が出るって言うんで行った事は無いんだよなぁ。」
「今日行くところも熊は出ますよ。」
「・・・危ないんじゃ・・・?」
「大丈夫です。熊避けはします。」
「熊除けって?」
「鈴を鳴らすんです。熊は臆病なので、人間の出す人工的な音には近付いてきません。熊が近付けば今でもルナが鈴を鳴らすはずですよ。」
「へぇ。」
丁度その時、馬車が大きく揺れた。そして、止まった。
「馬車を寄せました。お昼にしましょう。」
ルナが唐突に言った。
カストゥルとポルックスを馬車から外すと、近くの草の上に布を敷いてみんなで座った。
ユールは朝焼いていたパンと牛の干し肉と牛乳の脂肪に塩を入れて発酵させたものを出してきた。
「パンにこの発酵バターを塗って食べて下さい。この干し肉は味が付いているので、そのまま食べて下さい。」
「バターって言うんだ。この油。堅いね。・・・おっ癖があるけど美味しい!!」
「私のお気に入りです。これも私の手作りなんですよ。」
「へぇ、どうやって作るの?」
「絞りたての牛乳をとにかく振るんです。頑張って振ると脂肪が固まるので、それを取り出して塩を混ぜ込んで発酵させるのですが、一度うまく発酵した入れ物を使うと次もうまくいくんです。」
「なんか、簡単なのか難しいのかよくわからないね。」
「実は簡単なのです。」
ユールはこういう話をしているときが嬉しそうだよねぇ。料理が好きなんだなぁ、きっと。
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
- 2013/02/24(日) 17:08:53|
- 再生した地球にて
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今週は、お昼が忙しくて全然書き込めてなかったね。
というわけで、今週末は、小説の新しい章を公開しようと思ってるよ。
では!!
- 2013/02/22(金) 12:38:05|
- つれづれ日記
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我ながらアホだとは思うが、八王子の了法寺に行ってきたwww
萌寺と謂われる
元凶要因となった看板。

看板としては小さめで、高さは人の背丈程。
各キャラクターの吹き出しにはQRコードが有って、解説ページにリンクしている。
寺では非公式のテーマソングCDと第二段DVDを販売している。
買ったw

当然、西八王子には他に何も無く、新宿で買い物して帰った。
以上!
- 2013/02/11(月) 21:44:57|
- つれづれ日記
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アフィリエイトの広告を入れてみた。
たぶん、どこかに入っていると思う。
探してみよう。
でも、このブログの内容にあった広告になっているかは不明。
アダルトはカットした。つもり。
- 2013/02/07(木) 12:39:25|
- つれづれ日記
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今日は、電車が遅れているということで、あわてて家を出たら、
ケータイとWalkmanを忘れた。
こんな鬱が悪化する天気で・・・
なんかめげた。
- 2013/02/06(水) 12:16:07|
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第六章 初めての夜
両親が見えなくなると、ユールは申し訳なさそうに話し始めた。
「実は、私の今回の旅にはもう一つの目的があるのです。怒らないで聞いてください。」
と樽越しに話しかけてきた。いったいどんな話が始まるんだろうと思っていると、ユールは話し続けた。
「この旅の四日目か五日目に、もしかしたら盗賊に襲われるかも知れません。」
「へ?」
「もしそうなったら、必ず、納得がいかなくても私の言う事に従って欲しいんです。」
「退治するんじゃ無いの?ユールは強いんでしょ?」
「・・・必ずしもそうではありません。アナタの言うように、退治してしまうのは簡単なのかも知れません。」
「アナタじゃ無くて『タケル』!!」
「・・・たっ、タケルの言うとおり、退治してしまうのは簡単かも知れません。」
「うんうん。」
「でも・・」
そこで帰ってきたのは意外な発言だった。
「でも、それだけでは無い事も判って頂きたいんです。今は・・・理由は・・・私もはっきりしないのですが、何か嫌な予感がするんです。私の指示に従っては頂けませんでしょうか?」
「・・・」
「必ず、アナタだけは助けます。」
「『タケル』!!」
「必ず、タケルだけは護ります。決して、傷一つ付けさせません。・・・だから・・・」
「判ったよ。・・・判らないけど従うよ。それで良い?」
「・・・ありがとうございます。」
ユールは、樽越しに俺の手を取って自分の頬に擦りつけた。何を考えているのかは判らなかったが悪い気はしなかった。
王都は早瀬川の町の東の方にある。ここからは街道に入り急いで歩いて一週間くらいだ。山を回る道になっているため、実際の距離よりも時間がかかる。途中には先文明の時代から富士山と言われている山がある。この時期は冠雪で美しい風景を提供してくれる。馬車で登れる山では無いので、海側を回って行く事になる。
街道に入ってすぐに気がついたのは、この馬車がほとんど揺れないような気がするところだ。大変乗り心地がいい。馬車は御者席と一番後ろの今座っているところには(たぶん)牛の皮が張ってあって、中には綿が入っているようだが、乗り心地の原因はたぶん他のところにあるはずだ。ひょっとしてと思って、ユールにバネの間に入っていた棒の御陰か聴いてみたら、正解だと教えてくれた。制震装置というらしいが、中身は見かけよりは原始的なものなのだそうだ。でも、仕組みは教えてくれなかった。
それからは、鳥の鳴き声を聞いては鳥の話をし、花が咲いているのを見れば花の話をして馬車に揺られ続けた。ルナは文句も言わず、黙々と御者を続けていた。ユールは、ルナ以外と旅をするのは初めてだったらしい。隊商と夜に一緒になって一晩だけ夕餉やたき火を囲む事はあっても、一緒に歩いたり、一緒に馬車に乗ったりすることは無かったといっていた。
やがて、お昼の時間となったが、ユールは馬車を止める事も無く、お昼ご飯は果物で我慢してくれといって、箱いっぱいのリンゴと梨と干し柿と葡萄を差し出して好きなだけ食べてくれと言った。日が傾きかけた頃、南の方から、薄い雨雲が近づいてきた。ルナは、隊商が野営した跡と思われる場所に馬車を止めた。馬車の後ろをたき火の跡に近づけるように止め、車止めをすると、馬車の幌の上に丸めてあった帆布を伸ばし、たき火の上を覆うように広げ、長めの棒で馬車と反対側の両端を支え、紐と楔で器用に地面に固定し、簡易の屋根ができあがった。ユールと私は急いで薪を集めて、たき火の周りに集まった。
ユールは火口を取り出すと、器用に火をつけた。商売柄、火の扱いには慣れている自信はあったが、ユールはさすがに旅慣れた風に、どんな状況でも上手に火をつけてしまいそうな手慣れた感じがした。
その日は、馬車を早めに止めたので、お米を炊いて、焼いた鶏肉と味噌汁を準備してくれた。準備中に小雨がぱらついてきた。しかし、風はあまり強くなかったので、帆布の屋根だけでやり過ごせそうだった。お袋の天気予報もたまには当たるんだなぁと感心した。
ユールは食事ができあがる直前に小麦粉とイースト菌をを練ったものを作っていた。明日の朝パンを焼いてお昼ご飯にするつもりらしい。
ご飯はおいしかった。玄米では無く白米だったが、手間と炊きあがるまでの時間を考慮して旅の間は白米になるらしい。鶏肉には、様々な香草が塗してあった。香りが良くて食欲を刺激してくれた。
夜はたき火を囲んで寝る事になった。ユールはローブと毛布を渡してくれた。俺はローブをかぶり、毛布を掛けて横になった。代わり番こに不寝番をするものだと思っていたが、ルナが不寝番を買って出たので他の二人が寝る事になった。ユールが言うには、ルナは一週間に一度くらいしか眠る必要が無いらしい。そういえば、人間じゃあ無いんだっけ。普段のルナを見ているとついつい忘れてしまう。
俺は、しとしと雨が降る中、毛布にくるまりながら何となくたき火を見つめていた。ユールが声をかけてきた。
「眠れないのですか?」
「いや、そんな事は無い・・・と思う。」
「ごめんなさい、さすがにフカフカの寝床は用意できないのです。」
「大丈夫、大丈夫。このローブ、厚手で十分に柔らかいから。」
「それにしても、初日から雨に追いつかれるなんて、一寸不運でしたね。でも、この雨なら明日には止むでしょう。」
「そうだね、秋雨って感じじゃ無いからあまり長引かなそうだね。」
ユールは、眠れなさそうな俺に気を遣って一生懸命話し掛けてくれているんだろうか、あまり同じ話題が続かない。頑張って話題を探している感じが可笑しくって、また嬉しくって少し笑ってしまった。ユールには丁度微笑んだところを見つかってしまった。
ユールは毛布を持って立ち上がり、俺の背中に回り込んで並んで横になった。勿論、ルナが不寝番に立っているので迂闊な事はできない。
「誰かと並んで寝るのは初めてです。」
と、ユールは背中からささやいた。思わず振り向くと、ローブのフードに邪魔されてユールが見えなくて、頑張ってフードを下ろした。ユールは毛布の一部を丸めて頭の下に敷いて俺に顔を向け、そして、目を閉じていた。息が届いてしまいそうなほど近かった。抱きしめて口づけをしたい衝動に駆られたが、何とか押し止めた。
「結婚すれば毎日でも並んで眠れるよ。」
とささやきかけると、ユールは目を開けてどこか残念そうに、
「そうかもしれませんし・・・そうではないかもしれません。タケルは『二輪の花の記憶』は読んでいないのですね。」
「ああ、読んでない。お袋の実家にはあるらしいんだけどね。」
「私もです。・・・私も読んでいません。私は、タケルが読んでいなくて良かったと思って居るんです。読んで居たら一緒に旅をする事も無かっただろうと・・・そう思っています。」
「ひょっとすると、そこには、俺たちが結婚できない理由が書かれているから?」
「判りませんが、お母様の発言から、おそらく・・・少なくとも手掛かりが書かれているのだろうと思います。」
「・・・読んでみようかなぁ」
「だっだめです。お願いですから読まないでください。」
突然、懇願するように必死に訴えてきたので、宥めるように応えてしまった。
「よっ・・・読まないよ、知られたくない事があるなら、読まないから・・・」
「ありがとうございます。」
ユールは安心したようだった。少し、目尻が潤んでいるように見えた。悪い事をしてしまった気分になりながら、しかし、自分の口から思いがけない言葉が紡ぎ出されていた。
「でも、なんだか嬉しいな。」
ユールはびっくりしていた。
「何がですか?」
「だって、自然に名前で呼んでくれている。」
「あっ・・・ほっ、ほら、一々直されるのも・・・会話が途切れますし・・・」
頬を赤らめている。かわいい。思わず、腰に手を回し抱き寄せようとすると、火の番をしていたユールが態とらしく「コホン」と咳をしたので慌てて手を引いてしまった。でも、ユールはいやな顔をしていなかったし、少し、身体を寄せてきてくれた。俺は、どうしていいのか判らず、その場で身もだえをしながら「うーーーん」と唸ってしまった。前後から薄い笑い声が聞こえてきて恥ずかしくなってしまった。
「今の日本国国王が女王で私達の縁者である事はご存じですか?」
「あー、そういえばそうだったね、二年くらい前に女王になったって担当教員から聴いたよ。血縁者なの?」
「男の私の血縁者なのです。といっても、かなり遠縁になってしまいましたが・・・彼は二回この国の国王になっていますが、最後に国王になってからもう八世代経っています。」
「百五十年近く前だっけ?」
「そうですね。さすがに近親者というほどは近くなくても、血縁者と結婚するのはどうなのかとも思いますが・・・」
あー本当に別人格なんだ。自分を批判してる。
「今の女王は若いけど聡明な方です。おそらく、タケルの融資の審査も彼女が自ら行うでしょう。そして、私はその席で意見を求められると思います。」
「えっ?」
一寸驚いた。もしかしてユールが応援してくれれば承認間違いなし?
「でも・・・最初に謝っておきます。私はタケルに都合の良い意見を具申できる自信がありません。それどころか、邪魔をする発言をしてしまうかもしれません。・・・私は・・・その時が来たら冷静でいられる自信がありません。」
「へっ?」
どういう意味だろう。しかも、なんで今それを言うんだろう。
「私は・・・自分がどうしたいのか、まだ判っていないんです。この旅の途中でその答えが見つからなかったときは、多分、私は冷静では無い発言をしてしまうと思います。」
「それって、この旅の間の俺の行動次第って事?」
「・・・違う・・・とは・・・断言できません。・・・でも、多分に私個人の問題です。・・・なので、最初に謝らせてください。」
「・・・変な事聴いていい?」
「・・・どうぞ」
ユールは、とても真剣にそして真っ直ぐに俺の目を見て来た、だから俺は一寸視線をそらして質問してしまった。
「もし・・・俺が・・・ユールに口付けしちゃったら」
ユールは息をのんだ。なので俺もユールの目を見つめてしまった。そして続けた。
「その発言って変わったりするの?」
目をぱっちりと見開いていたユールは、思案気に視線を泳がせていたが、やがて決心したように
「変わらないと思います。」
とはっきり答えた。
その答えを聞いた俺は、質問を続けた。
「もし・・・もしその先に進んで、もっと凄い事を・・・その・・・最後までしてしまったら・・・」
「そっ・・・その時・・・でも」
ユールは真っ赤になりながら続けた。
「自信は・・・有りませんが・・・多分・・・変わらないと思います。・・・そのぉ・・・もしも私の発言が怖くて・・・行為に及ぶのを躊躇うようなら・・・何というか・・・躊躇わず行為に及んで頂いた方が・・・私は嬉しいです。」
なっ何を言っているんだ。俺は、間違いなく真っ赤になっていると思う。俺は、女の子に何を言わせてしまったんだ。ユールの発言に僅かなりとも興奮するものはあったが、それよりも巨大な後悔が自分を押しつぶし始めた。一度真っ赤になった顔が青ざめていくのを感じた。
すると、ユールは毛布から手を出して俺の頬を撫でて言った。
「何度でも言いますが、私はアナタに何をされても抵抗しませんから、アナタの気持ちを大事にして欲しいでのす。私は、少なくとも、長生きしてきて、間違いなく言えるのは、アナタに何をされても・・・タケルに何をされても後悔はしないと・・・これだけは断言できるんです。それだけは、信じてください。・・・信じて・・・欲しいです。」
「俺も、今は、自分の気持ちの整理が出来ていないみたいだ。」
「ふふふっ。そうみたいですね。差し詰め私はアナタを惑わす悪魔と言ったところですね。」
ユールは今までに無いほど悪戯っぽくそして蠱惑的な笑顔を見せたが、すぐに真顔に戻って顔を口付け出来るほど近づけて
「アナタが一時的な劣情から私に手を出したとしても、私は受け入れますし、後悔もしません。」
といった。俺は堪らず毛布が腕に絡んでいるのもかまわずユールの肩を突き放し距離を取った。
「意気地なし」
と、火の番をしていたルナからの声を聴いて、慌てて振り返った。一時ルナの存在を完全に忘れていたことを悟ったが、ルナの発言の意味が理解出来ず、さらに頭が混乱した。
その後、ユールの顔を見ることが出来ず、ユールに背中を向け、またしばらく、たき火を眺めていた。
何か、夢を見ていた気がする。やけにはっきりした夢だったことは覚えている。なのに、夢の内容は思い出せなかった。
ご飯の炊ける香りがした。これは玄米の香りだ。
「はっ」
と、目が覚めた。ユールはもう目を覚ましていて、ご飯を作っていた。雨はもう止んでいたが、ユールはどことなく暗い顔をしていた。俺が「おはよう」と挨拶をするとユールは俺が起きたことに気がついていなかったのか驚いたように慌てて「おはようございます」と挨拶をした。
ルナは毛布にくるまって眠っているようだった。
「私が起きるまで頑張っていたのでご飯が出来るまで寝かせてあげてください。必要は無いといっても毎日少しずつは眠った方が身体への負担は少ないはずなんです。」
と、ユールはルナを気遣っていた。俺は
「ああ」
という気の利かない返事しか出来なかった。昨夜の自分がユールに対し取ってしまった態度に自己嫌悪が津波のごとく押し寄せてきた。何を言うか整理も出来ていないのに口が勝手に開いていた。
「あの・・・昨日はごめん。」
「は?何のことですか?」
「その・・・うまく説明出来ないんだけど・・・君を傷つけてしまったような気がするから」
ユールは不思議そうな顔をし、料理を続けながらこちらを見て
「何のことか判りませんが、私は傷ついていませんから気にしないでください。」
とにっこり笑った。しかし、俺の心は晴れなかった。
「いや、それでも謝らせて欲しい・・・ごめん。」
ユールは困ったようにでも、何か煮込み料理でも作っているのか、お鍋を見つめ、かき混ぜながら呟くように言った。
「多分、私がアナタに謝りすぎたのでアナタにも変な気持ちが伝染してしまったのですね。これからはお互いに謝るのを禁止にしませんか?」
「言っている意味がわからない。」
「それに、これも多分ですが、私がアナタを誘惑しているからアナタが後ろめたい気持ちにならなければいけない様な事をさせてしまっているのですね。だから、謝らなければいけないのは私なのだと思うのです。でも、私は自分の気持ちの整理が出来るまで、アナタを・・・タケルを誘惑することをやめられません。だから、謝りません。」
「えっ、いや、えっ?」
「だから、謝られると私が困るんです。」
「あの・・・その・・・どどどっ」
「だから、謝らないでください!!!」
視界の端にもそもそと動くものがあった、そして、その動くものが声を発した。
「痴話喧嘩はもう少し離れたところでやって頂けませんか。」
不自然な低い声、若干怒気を含んだそれはルナの声だった。
「あっ起こしちゃった。てへっ。」
「てへっ。じゃ有りませんよユール。・・・ふぅ、まぁ最低限の睡眠はとれましたからいいですが。」
「ごめんなさい。」
ユールは申し訳なさそうにうなだれた。
「ユールは悪くないんだ俺が・・・」
ルナの怒気を含んだ声は俺の反論を許さなかった。
「当たり前です。アナタが悪いのは当然のことです。あなたの口から聞くまでもありません。」
「マジ、やっぱりそうなの・・・」
「・・・ふぅ、冗談です。アナタはルナをかばう必要はありませんよ、私は眠っていても周りの状況は全て把握しています。半径四キロメートル以内の事は小鳥の囀りでも聞き逃しません。」
「それはそれで怖いけど・・・」
「勿論、旅の間だけですよ、ここまで警戒するのはね。でも、アナタにいいわけをされなくても、全て判っています。」
「あ、どうも」
どう返事していいものか困って、なんか妙な返事をしてしまった。
「もうすぐ、ご飯が出来ます。少し向こうに行ったところに小川がありますから、顔を洗ってきてください。」
と、ユールが林の方を指差した。俺は言葉に従い、手ぬぐいと身だしなみをそろえる為の一式を持って川に向かった。後から、ルナもやってきた。俺は、何気なくルナに話し掛けた。
「おはよう・・・あのさぁ、」
「何ですか?」
「ユールってなんか、見かけの年齢と精神年齢が近いよねぇ。本当に長生きしてきたの?」
「・・・長生きしてますよ。でも、男性に対して見かけの年齢と精神年齢が近い行動をするのは当たり前だと思うんですが?」
「なぜ?」
「身体が若いからです。彼女も見かけの年齢相応に思春期ですし、性欲も抱えているんです。私には、今までよく我慢してこられたなぁと感心することは出来ても、年齢に不相応な事をしているとは思えません。」
川にたどり着いた。川は水遊びが出来そうな浅い川だった。河原には大きめの石がごろごろしていて、水はとても澄んでいた。昨日の雨の影響はなさそうだった。
「十分飲用に耐える水ですね。」
といってルナは服を脱ぎ始めた。
「ちょっ、何をしているんだ?」
「何をって、水浴びをするつもりですが?私はユールと違って水浴びをしないと身体を清潔に保てませんから。アナタも水浴びをした方がいいですよ。」
ぎょっとしている俺とは対照的にユールは淡々と服を脱ぎ終わると、水の中に入っていった。
「俺も男なんだけど・・・」
というと、ルナは俺を睨んで、
「アナタは幼女趣味をお持ちですか?なら考えますけど、そうで無いならこんな貧相な身体に興味は無いでしょう。」
確かに、ルナの身体はまだ、子供のそれだったが、胸は膨らみかけており、俺をどぎまぎさせるには十分だった。俺は、
「幼女趣味は無いけど、やっぱりどきどきはするよ。」
と返した。すると、ルナは
「溜まっているなら解消するお手伝いはしますよ。」
と、冗談とも付かない顔で発言したので、
「本当に?」
と聴いてみた。ルナは、背中をこちらに向けた見返るような格好でこちらをじっとしばらく見てから、
「ユールにお願いしてもいいとは思いますけど、私の方が良いなら否はありません。でも、私は事務的ですよ。恋愛感情は無いので。」
と冷たく返された。何となく困っていると、
「とにかく、水浴びをすることはお勧めします。今日は強行軍になる予感がします。ユールが馬車の中で食べられるお昼ご飯を準備していましたからね。」
「え?昨日より?」
「昨日より!」
俺は、渋々、女の子の前で裸になり、水浴びをした。さすがに勃起っているということは無かった。自分が幼女趣味や無くて良かったと安心してしまった。
身体を拭いて戻るとご飯が並んでいた。ユールは元気に
「今日は、昨日の二倍を一気に移動しますから休憩も少ないですよ。しっかり食べておいてくださいね。」
といった。ルナの予想通りだ。俺は、水浴びで冷えた身体をたき火で温めながらご飯を食べた。塩でしめた鳥の笹身と根菜を煮込んだ煮物と玄米、大根の葉の味噌汁。味噌汁は少し薄味だったが、しっかり出汁が取ってあるのでおいしかった。
ご飯を食べている間にユールは昨日作っていた小麦粉の練り物を百日紅の枝に巻き付けて焚き火のそばに刺して焼いていた。これも美味しそうな良い香りがしてくる。
「これはパンという食べ物です。本当は窯で焼くと美味しいのですが、馬車に釜を積むわけにも行かないので」
といって笑いながら説明してくれた。お昼ご飯なのだそうだ。
パンは旅の定番料理として知ってはいる。旅の道具を買いに行ったときにお店の人が見せてくれた。堅い黒い塊で、薄く切って水に浸して食べるようなもので美味しい物では無いと言っていた。しかし、これは美味しそうだ。そんな話をすると、
「あぁ、黒パンですね。黒パンは二度焼きで焼きしめると一ヶ月以上保存がきくんです。でも、あまり美味しく無いですね。これは今焼くと明日の朝までしか食べられないような保存のきかないパンです。その代わり、柔らかくて私は好きなんです。栄養は、黒パンの方があるかもしれませんね。」
へぇ、ユールは旅の間、大変でも自分の好きな物を食べさせてくれるんだ。なんだか嬉しいな。
「そういえば、今日は玄米だったね。ユールは玄米好きなの?」
「はい、白米よりも玄米が好きです。味も香りも。でも、これは好き嫌いですね。タケルはどちらが好きですか?」
「うぅん、難しいなぁ。どちらにもそれぞれの美味しさがあるんだよなぁ。」
「そうですね。でも、白米にすると、栄養を摂るためにおかずが難しくなるんですよねぇ。」
「えっ、そうなんだ。」
「はい。この旅は短いのであまり問題ないのですが、玄米の栄養と同じ物を摂ろうとすると腐りやすい物が多くて、長持ちする物が少ないので長旅では大変です。」
「へぇ、普段はどうしているの?」
「大陸では町から町まで一ヶ月移動することもあるので、私とルナだけの時は、米ぬかと酵母と色々混ぜて固めた物を時々摂っています。食べてみます?薬みたいな物なので美味しくは無いですが・・・」
「食べてみようかな。」
ユールは、馬車の中から、水袋のような物を持ってきて、中から錠剤を三粒出して渡してくれた。
「これだけで栄養を摂るときは一日に三十錠食べます。」
「うん」
といいながら口に入れて噛んだ。
「うぅっ」
不味い、口の中の水が吸い取られた後、土を食べているかのような味が・・・。さらに後から妙な酸っぱさも・・・これは頂けない。
「お水です、どうぞ。」
水を器に入れて渡してくれた。
「美味しくないでしょう。これ、先文明の頃から美味しくないそうです。」
とユールは自分も美味しくない物を食べているかのような顔をして教えてくれた。俺は水で口の中の物を流し込んで、さらに煮物で口直ししてから、頷いた。
「これは酷いねぇ。」
「栄養はあるんです。持ち歩くにも場所も取らないので、最後の手段としていつも持ち歩いています。水が必要になるので、水が無いとさすがに食べられません。」
料理が出来るときは極力料理してもらった方が良さそうだ。
ルナが食べ終わった食器をもって川との間を往復して片付けを始めた。俺も自分の食器や空になった鍋を持って川に行った。ルナは手際よく洗い物をしていた。俺は、洗い物をルナの隣に置くと、洗い終わった物を重ねて持ち上げた。ルナは、洗いながら「ありがとうございます」と感情の無い挨拶をしてきた。でも、その一言で嬉しくなれる自分を見つけた。
帰り道にカストゥルとポルックスが食事をしているのが見えた。そういえば、昨日の夜馬車から外した後、二頭でどこかに走って行ってしまって、誰も面倒を見ている様子は無かったけど、放し飼いみたいな物なのかな?一寸気になったが、食器を持って馬車に向かった。馬車ではユールが食器を受け取ってくれた。
「さっきそこでカストゥルとポルックスが道草食ってたけど・・・」
「はい、私達からはご飯は夕方に野菜と果物をあげているのですが、一日に一回だけなんです。後は自由に食べてもらっています。危険な物は教えてあるので大丈夫です。」
「そういう物なんだ」
「彼らだけです。普通の馬でそんなことしたらおなか壊しちゃいますから、馬車に干し草や何かを入れておく物だと思います。たぶん・・・」
「ははは、そうかも知れないね。」
珍しく自信のなさそうなユールを見てかわいいところも有るじゃないかと思っている俺がいた。
みんなで急いで準備をした。ルナが口笛を吹くとカストゥルとポルックスは走ってやってきた。そして八時には移動を開始していた。今日はみんなで並んで御者席に座っていた。ルナを挟むように前に向かって私は右、ユールは左に座った。
「今日は、温泉まで行きたいの、カストゥル、ポルックスお願いね。」
というと、二頭の馬は嘶いてから早足で動き始めた。相変わらず凄いなぁこの二頭は。
テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学
- 2013/02/02(土) 23:22:17|
- 再生した地球にて
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Walkman問題以来、しょっちゅう行っている銀座だが、
今日も久しぶりに銀座に行った。
先ず、親と一緒に銀座のビルの最上階で焼き肉と冷麺を頂いた。
・・・と言っても、「ぴょんぴょん舎」だけどね。
そして、別な用事に向かう親を銀座線銀座駅まで送ってからSonyビルに向かった。
目的は今月発売予定のBluetoothスピーカーを見るためだ。
価格は、予定価格29,800円と19,800円。
最初、29,800円の方を聴いた。
ん、いい音だ。周りがうるさいので、少し近くで聴いたが、ボーカルもジャズも音をよく分解していて聞きやすい。
次に、19,800円の方を聴いた。
いきなり後悔した。安い方を先に聴けば良かった。
思った以上に音に違いがあったのだ。
Sony Storeの人曰く。
「聞き比べちゃうと違いがはっきり判っちゃうんですよねぇ。
安い方も決して音が悪いという事じゃ無いんですけど・・・」
まさにそんな感じだった。
作りがしっかりしていて、持ち歩きも考慮されており、
このランクのスピーカーとしては、飛び抜けて音が良いと感じた。
是非欲しい。
もちろん高い方(^^;
安い方も音そのものは決して悪くない。
大きさも音を考えれば十分コンパクトだ。
でも、音の良さ、低音のしっかりした心地よさは高い方に軍配が上がる。
重低音はいらないが、やはり低音は重要だ。
興味のある方は、是非、聞き比べて頂きたい。
テーマ:WALKMAN - ジャンル:音楽
- 2013/02/02(土) 22:46:38|
- 音楽を持ち歩く
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Microsoft Officeは、もうすぐ2013が発売される。
そして、なんと、値上がりする!!
かなり値上がりする。
Office Personalでも、3万円を超える価格になる。
しかも、下の方のエディションにはアップグレード版がない。
・・・
そこで、耳寄り(?)情報。
今、Office 2010を購入してアクティベートすると、
2013への無償アップグレードがついてくる。
なので、単純に買うだけでも、今がお買い得!!!
でも、条件があるから、詳しくはサイトで確認してね。
次期 Office 無償アップグレード プログラム
ちなみに、Office2013発売前の週末は今日が最後!!
悩んでいる時間はなさそうだ。
- 2013/02/01(金) 12:48:15|
- つれづれ日記
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ルータが多くて大変だったが、
UPNPは一つを除いて無効になっていた。
有能の一つは「脆弱性の悪用の心配はない」となっていた。
しかし、UPNPは、以前にも脆弱性が問題になっているので、
使っていないなら”OFF”にしておいた方がよさそうだ。
ふぅ。
- 2013/02/01(金) 12:41:55|
- つれづれ日記
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